大空間建築の考え方2

【ポイント】
熊本大震災本震から3ヶ月半が経とうとしているのに、まだまだショッピングモールやスーパー、そして大型工場などが再開・営業できないままで、閉鎖に追い込まれるところまであります。

ミニ情報-160701「これからの大空間建築の考え方」でも紹介しました広いスパン建物の件ですが、倉庫として使用する場合は天井を貼らずに折版屋根に結露防止のぺフを張り付けたままの天井表しの場合がほとんどです。
ところがペフ材は10年前後ではがれ屋根材が結露して水滴が落ち始め商品ほかに被害を及ぼすようになります。
そこで最近は設計でアイシネンのような現場発泡硬質ウレタン断熱が多くなりました。
商品のための倉庫は原則人の出入りが少なく、作業する時間も限られているため、商品を傷めないことが第一優先です。
そこで米や生鮮食品を保管する倉庫は基本15℃の定温にする必要があり、 窓などの開口を 最小限にして、壁から屋根までアイシネンなどの高気密高断熱で空調のエネルギー消費を最小限にする必要があり、何より結露を発生させないことが一番重要、しっかりした計画と施工が重要です。
ところが人が集まるスーパーなどの店舗や人が作業する工場などでは、小屋裏に空調機やダクト・配管・配線などなど配置隠し、美観も重要なことから天井を貼ることになります。
基本は天井裏にグラスウールをのせ 天井から上の温熱環境は外部で天井下が居住・作業空間として空調や照明を計画します。
今回の大地震では、大空間の建物でこの吊天井の多くが破損・落下しました。
左の写真は地震がひどかった西原村の工場で、折版屋根にはペフの結露防止の断熱のみで、天井はほぼ落ちてしまい、
天井埋め込みのカセットエアコンもかろうじて2本のボルトと配管で支えられ落下は免れたものの今後運転はできません。
大津の知り合いの工場では何トンもあるホイストクレーンが床面に落ちた写真を見せてもらいました。
地震発生が日中の就業中の時間帯であればどれだけの人が負傷したかわかりません。
左の写真は店舗などでたまに見受けられるやり方ですが、イギリス・ヒースロー空港の写真です。
照明器具の大きな反射板を規則的に配置し、器具の上の小屋裏に当たる空間は暗くして、ダクトや配管などすべてをしっかりと固定し、黒く塗装することで生活空間・店舗空間として確立されます。
地震対策としては、独立してしっかりと固定することが重要になります。
先にお知らせした新築された工場ですが、作業員の作業性・作業環境を一番に考え省エネも図るため、昼間は照明なしでも十分仕事が出来、夏も冬も冷暖房に頼らなくて済む創りを目指しました。
且つ、工場内の機械加工の騒音やわらげ、近隣の騒音問題にも配慮した作りです。
スーパーの生鮮食売り場は温度を低く抑えますが、天井面の断熱に不備があると、小屋裏と店舗内で温度差が発生しカビが発生することがあります。

左の写真は、あるスーパーの天井面ですが、黒く塗装した天井に大量のカビが発生しているのが分かるでしょうか?食品を扱うところでカビは大問題です。
四国の大手のスーパーさんからも問い合わせがありアイシネンによる屋根断熱と換気・OA取り入れ方をアドバイスしました。
下の写真は先にあげた西原村の倉庫で、8年前に2階の折版屋根にアイシネンで断熱改修させていただきました。
窓から間接的に入る紫外線で少し変色していますが、2度の大きな揺れにも何事もなく、他が使えなくなった後、この場所が災害復旧の拠点です。

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pdf版【生環新書】「大空間建築の考え方2-16/08/01」PDF版


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